2012年05月04日

股関節痛【私の痛みE】

東京で治療を受け、名古屋に帰ってきてからは、佐藤先生に教えられたことを忠実に守っていきました。指導された立ち方や歩き方を常に意識し、凝り固まっている股関節周囲の筋肉を、自分で揉んだり押さえたり、ときにはストレッチをしたりしてほぐしていきました。


すると、痛みは少しずつ軽くなり、歩いているときの痛みはなくなっていきました!正確には、痛みが出るときもあれば、痛みがでないときもあり、それを日々繰り返しながら、全体としては痛みがなくなっていくといった感じです。


2012年3月に入って、ためしにロキソニンを飲むことを止めてみました。嬉しいことに、痛みが強くなることはありませんでした♪「ホントに半年で痛みがなくなるかも!(^^)」。どんよりしがちだった私の気分も、少しずつ晴れやかになっていきました。


ただ、痛みはなくなっていったのですが、歩いているとき、特に歩き始めですが、脚腰に頼りなさを感じていました。例えて言うなら、右脚と身体がしっかり繋がっていないような感じ。このためか、速く歩くことはできませんでした。どうもギクシャクした感じ・・・。「教えたもらった通りに歩いているんだけどな〜。何か間違っているのかな・・・。(?_?)」


再度佐藤先生に教えを請うために、3月30日に大阪(出張セラピー)で治療を受けました。そこでの佐藤先生のお話をまとめると、どうやら私の歩き方は、歩いている姿勢(見た目の形)は悪くなかったのですが、筋肉の使い方が良くなかったようでした。お尻の筋肉、大殿筋とよばれる筋肉を十分に使えていなかったようです。前回の治療でも大殿筋をよく使うように指導されていたのですが、使い方を若干間違っていたようです・・・。


佐藤先生は、大殿筋をしっかり使えるように、骨盤の運動を利用したエクササイズを教えてくれました。そのエクササイズをその場でやってみると、まったく上手くできませんでした(>_<)。大殿筋を使えていない証拠です・・・。佐藤先生もこの運動は、最初は上手くできなかったとのことで、練習をしてようやくできるようになったそうです。


大阪から名古屋への帰り道、教えてもらったことを意識して、大殿筋に少し力を入れながら歩きました。教えてもらう前より、なんとなくしっかり歩けている感じがありました。少し右脚と身体が繋がったような気がしました(笑)。


つづく・・・


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股関節痛【私の痛みF】

骨盤の運動、暇をみつけては行っていました。1週間ほどでコツが分かってきました。最初は壁に手をついてなんとか出来ていましたが、慣れてくると手ぶらでも出来るようになりました。それとともに、大殿筋を使ってしっかり歩くことも出来るようになり、以前に感じていた“ギクシャクした感じ”はなくなっていきました♪早歩きもできるようになり、痛みもさらに軽くなっていきました。(^^)


「それにしても、なぜ大殿筋を使うと痛みが軽くなり、しっかり歩けるようになったのだろうか・・・?」私は理学療法士として2年間働いてきましたが、答えが出ません(>_<)。私の友人が勤めている病院に『平針かとう整形外科』という病院があります。ここでのリハビリテーションは、ある一部の障害に対しても、身体全体を診ていく(例えば、肩に痛みがある場合でも、下半身の姿勢も診ていく)方針で治療を行っており、多くの成果を上げています。4月5日、このリハビリテーション科の長である理学療法士の岡西先生にお話を聞く機会がありました。

岡西先生:
「例えば、ある仕事を4人で行うとしましょう。4人でやっとカバーできる仕事です。ここで、1人が何らかの事情で働けなくなってしまうとしましょう。すると、残りの3人で仕事をカバーしないといけなくなり、それぞれの負担が大きくなってしまいます。やがてその3人の誰かが疲労で身体を壊してしまいます。そうなると、仕事が滞ってしまいます。あなたの股関節ではこういうことが起きていたのではないでしょうか?」

私:
「なるほど!大殿筋が働けなくなってしまい、その他の股関節の筋肉に大きな負担がかかり、筋肉を傷めたり、正しい歩き方ができなくなったりして、股関節を痛めてしまったというストーリーが考えられるんですね。」


岡西先生のお話を聞いて、健康にとっての正しい姿勢、歩き方のヒントは、ここにあるのだと感じました。自分の知識不足や思考能力不足を痛感しました(>_<)。岡西先生には感謝感謝です♪


『平針かとう整形外科』
http://www.h-k-seikei.jp/index.php

『平針かとう整形外科 リハビリテーション』
http://www.h-k-seikei.jp/rehabilitation.html


つづく・・・


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2012年05月05日

股関節痛【私の痛みG】

4月11日、大学病院で5回目の診察を受けました。私はこの診察で、とても有意義な経験をしました。


今回からは、これまで診てくださっていた医師から、代わりの医師の診察となりました。これまでの医師は40歳前後と思われる細身の男性で、代わりの医師は50歳代と思われる恰幅の良い男性です。その代わりの医師に現在の状況を説明しました。痛みはほとんどなくなってきている、と。

Dr:
「これ(3D-CT画像)を診てください。あなたの悪い方の右側の臼蓋(大腿骨頭がはまる骨盤の穴)は、左側に比べて大きく張り出して縁が波打っています。また、右側の大腿骨頭の縁が盛り上がっています。この臼蓋の張り出しと、大腿骨頭の盛り上がっている部分が接触すると、痛みが出るのだと思います。」


臼蓋.png
3D-CT(背面像)


大腿骨頭.png
3D-CT(正面像)


私:
「確かに・・・」

Dr:
「『FAI』という言葉を聞いたことはありますか?Femoral Acetabular Impingement、股関節インピンジメント、大腿骨寛骨臼インピンジメントと言って、最近注目されている病態です。まさにこれに当てはまります。手術をして、これらの出っ張りを取って、形を整えると、痛みはなくなると思います。」

私:
「手術は考えていません。」

Dr:
「そうですか。このままだと、大変なことになりますよ。」

私:
「(えっ・・・(汗))でも、痛みはなくなってきているんです。」

Dr:
「ちょっとベッドに寝てみてください。」


私はベッドで仰向けになりました。医師は私の右脚を動かして検査を始めました。

Dr:
「こうすると痛みが出るはずです。」


医師はそう言って、右の股関節を曲げながら、右脚を外に開いたりひねったりしました。

私:
「痛くありません。」

Dr:
「・・・。これはどうですか?」


医師はまた別の方向へも右脚を動かしていきました。

私:
「痛くありません。」

Dr:
「・・・。」


この検査は、12月の初診察時に、これまでの医師にもしてもらいました。そのときは痛みが出ました。しかし、今回は出ませんでした。


検査を終えて、お互い椅子に座り、医師は「股関節を大切にしないといけないですね。」と言いました。そして、3D-CT画像上で、大腿骨頭の盛り上がりと臼蓋の出っ張りとの距離を測ったり、大腿骨頭の回転軸を中心として角度を測ったりしました。

Dr:
「盛り上がりと出っ張りがぶつかるまでの余裕はこれだけしかありません。股関節を曲げていく方向では、50°ぐらいでぶつかるのではないでしょうか。そうやって椅子に座っているのも良くないですね。」

私:
「えっ!・・・」

Dr:
「右の股関節は大きく動かさないようにした方がいいでしょう。なるべく“がに股”でいた方がいいですね。階段を上り下りしたり、自転車をこいだり、水泳も良くないですね。」

私:
「そしたら何もできなくなってしまいますよ。生活できなくなってしまいます。水泳もダメなんですか?(バタ足で股関節が大きく動くことはないはずだが・・・)」

Dr:
「そうですね。良くないです。」

私:
「クロールでは、あまり股関節は大きく動かないと思うんですけど・・・。」

Dr:
「あ、クロールはいいかもしれませんね。でも、平泳ぎはダメです。」

私:
「そうですか・・・。」

Dr:
「(3D-CT画像を眺めながら)それにしても、やっかいだな、これは。」

私:
「(ショック・・・(涙)。この医師は酷いことを言うな・・・。でも、俺は手術をせずに治すんだ!!)」

Dr:
「たぶん、すぐには骨の変化はないと思うから、次回の診察は半年後か1年後でいいと思います。どうしますか?」

私:
「では、半年後にお願いします・・・。(痛みどめの処方については、何の話もないんだな・・・)」


自転車をこぎながら自宅に帰りました。診察前までは何ともなかったのに、診察を終えた後から、なんだか少し痛みを感じるようになりました。(>_<)


これまでの医師は、早口で話すけど、私の話はしっかり聞いてくれる先生でした。代わりの医師は、自信満々で、私の話はあまり聞かず、自分の考えを一方的に話し、その考えにそぐわないものは断固として認めない、といった印象を受けました。私は、痛みに悩んで、辛くて不安だから、病院へ診察を受けに行っているのに、逆に不安をあおられ、痛みを感じさせられてしまいました(涙)。


痛みは、心理的な要因で、軽くもなれば、強くもなります。このとを改めて体験することができました。今回私を診察した医師は、私をどうしたかったのでしょうか?痛みは、不活動にしていればいるほど感じやすくなり、ネガティブな心理状態(不安、恐怖など)によって増強します。リハビリテーションの世界では、このことはよく知られていることだと思います。これまでの医師が、代わりの医師のことを「リハビリテーションの分野でも有名な先生です」と紹介したことが、不思議でなりませんでした。


今回の診察を経験し、医療者の言葉は、患者に大きな影響を与え、とても重いものであることを、自ら感じることができました。私も医療者として、患者さんへの言葉かけは、患者さんの気持ちを十分に配慮して行わなければいけないと、改めて心に刻みました!!


ちなみに、今回のブログ、、、書き始めるまでは何ともなかったのに、書き進めていると、なんだか少し痛みを感じてきました(汗)。そのときのことを思い出していると、そのときと同じ心理状態になってしまうのでしょうね。ネガティブな心理状態・・・、良いことないですね。(>_<)


つづく・・・


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2012年05月13日

中枢伝達経路(二次、三次侵害受容ニューロン)【痛みの経路C】

ヒトの神経系には2種類あって、中枢神経と末梢神経とよばれています。中枢神経は多数の神経細胞が集まって大きなまとまりを作っているところで、脳と脊髄がそれに当たります。末梢神経は中枢神経以外の、全身に分布している神経のことをいいます。


脳は、延髄、橋、中脳、小脳、間脳、大脳からなり、延髄、橋、中脳を合わせて脳幹といいます。脳幹は呼吸や循環など生命維持に重要な中枢であり、意識レベルの維持にも深く関与しています。


一次〜三次侵害受容ニューロンの系統図を下に示します(図1)。


三次侵害受容ニューロン.png

図1:一次〜三次侵害受容ニューロン系統図



『痛み』を伝える神経のうち、脊髄から脳へ至る中枢神経の伝達経路には、外側系(感覚系)と内側系(情動・認知系)の2種類があります。


外側系の経路は、脊髄⇒視床(外側核群)⇒大脳皮質の体性感覚野に至る系です。ちなみに、この系の脊髄から視床までの区間を、外側脊髄視床路といいます。


体性感覚野とは、体性感覚が伝達される大脳の領域です。体性感覚とは、皮膚感覚(触覚、痛覚、温度覚など)、深部感覚(位置覚、運動覚、振動覚など)、内臓感覚(※内臓感覚を除外する立場もある)のことです。体性感覚は、特殊感覚(嗅覚、視覚、聴覚、平衡覚、味覚)とは異なり、皮膚、筋、腱、関節、内臓の壁など、身体のいたるところで感じる感覚です。


外側系は、一次痛の伝達経路で、主に痛みの部位、強度、持続性など、痛みの種類を識別した身体的な痛みに関わる情報を伝達します。また、この経路は、触覚、深部圧覚、温度覚などを伝える刺激も伝達し、判別が明瞭な感覚の伝達経路といえます。


内側系の経路は、脊髄⇒視床(内側核群)⇒大脳の島皮質前帯状回扁桃体海馬前頭前野に至る系です。この系は、脊髄から視床に至るまでに、延髄などの脳幹でシナプスを形成しています。ちなみに、この系の脊髄から視床までの区間のうち、延髄や脳幹でシナプスを形成していないものを、内側脊髄視床路といい、シナプスを形成しているものを、脊髄網様体視床路といいます。


島皮質情動に、前帯状回情動認知に、扁桃体情動記憶に、海馬記憶に、前頭前野情動認知記憶に関与しています。これらのうち、前帯状回扁桃体海馬は、大脳辺縁系に含まれています。


大脳辺縁系は、大脳半球の内側面にある領域で、情動意欲記憶自律神経活動などに関与している複数の構造物の総称です。生物が生きていくために必要な、本能的行動を司る領域とされています。


情動とは、怒り、恐怖、喜び、悲しみなど、急速に引き起こされた一時的かつ急激な感情の変化のことです。


認知とは、ある対象を知覚したうえで、それが何であるか判断したり解釈したりする過程のことです。知覚とは、ある対象から受けた感覚を、ひとまとまりの意味のあるものとして捉えることです。感覚とは、ある対象から受けた刺激を、感覚器によって受け取ることです。例えば、リンゴを見るとき、何か(リンゴ)が目に映ったと感じることが感覚(視覚)で、それを「赤い」、「丸い」と捉えることが知覚で、それを知識や経験に基づいて「リンゴだ!」と判断することが認知です。


網様体とは、脳幹にある神経細胞の構造物で、網状に交差する神経線維と、その網の目の中に点在する神経細胞体で構成されているものです。呼吸や循環の中枢で、生命維持に不可欠な機能を担っています。


内側系は、二次痛の伝達経路で、身体にとっての痛みの意味、ならびに情動認知の情報を伝達します。この経路は、大脳辺縁系に作用することから、痛みに伴うイライラ感、恐怖、不安感などの不快な感情変化を引き起こします。また、間脳の視床下部(自律神経機能の調節を行う中枢)などにも影響を及ぼし、血圧上昇、頻脈、冷汗、顔面蒼白などの自律神経症状を引き起こします。


三次侵害受容ニューロンは、二次侵害受容ニューロンの興奮を視床で受け取り、外側系では一次痛を大脳の体性感覚野へ伝え、内側系では二次痛を大脳の島皮質前帯状回扁桃体海馬前頭前野へ伝える神経です。


外側系内側系の両者は独立して存在するのではなく、いくつも接点があります。例えば、外側系の終点が体性感覚野というわけではなく、そこから大脳の領域をいくつか経由して島皮質に接続しています。


つまり、島皮質は、内側系外側系の両方と接続しています。さらに、島皮質大脳辺縁系を含む様々な領域に接続しています。


以上のようにして、痛み刺激は大脳へ伝達され、外側系内側系の情報が統合され、『痛み』が生じることとなります。(^^)


おわり(^^)


〈主な参考文献〉松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識(上)基礎編,技術評論社.2010.

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2012年05月15日

『gate control theory』と『広汎性侵害抑制調節』【痛みの抑制@】

私たちは日常的に、痛みが生じると、思わずその部位をさすったり、他の部位をつねったりして痛みを和らげようとします。そして、実際に痛みが和らぐことを体験します。


この、痛いところをさすると痛みが和らぐ現象を説明しようとして、1965年にMelzackとWallという人物によって、『gate control theory(ゲートコントロールセオリー)』という痛み抑制理論が提唱されました。


この理論は、当時としては大変斬新なもので、その後の痛みの研究や治療の新しい時代を拓くものとなりました。しかし、その後いくつかの誤りが指摘され、否定的な実験事実が確認されたため、科学的価値は低いとされています。


一方、痛いところとは別のところをつねったりすると痛みが和らぐ現象を説明しようとして、1979年にLe Barsという人物らによって、『広汎性侵害抑制調節(DNIC:diffuse noxious inhibitory controls)』という痛み抑制理論が報告されました。


彼らは、動物実験で、全身の広範な部位に加えた侵害刺激(C線維刺激)により、脊髄の広作動域ニューロン二次侵害受容ニューロン)の興奮性が抑制されることを示しました。この『広汎性侵害抑制調節』は、鍼灸や経皮的末梢神経電気刺激(TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation ※病院のリハビリでよく使われている電気刺激装置)などの、身体の表面からなんらかの刺激を加える痛み治療法による鎮痛メカニズムの一つと考えられています。


彼らは侵害刺激を用いての実験結果を報告していますが、2002年に別の人物が示した注目すべき実験結果があります。それは、非侵害性の刺激でも、痛みが生じているところから離れたところを刺激すると、痛みが抑制されるというものです。この実験では、例えば、温水を手に浸すと、温水に浸さない場合に比べて、その手から離れた場所の痛みの強さが小さくなりました。


痛いときに、さすったりつねったりすると、痛みが和らぐのは、実験でも確かめられていて、そのメカニズムも明らかになってきています。痛いときに、さすったりつねったりすることは、決して無駄なことではないようですね。(^^)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識(上)基礎編,技術評論社.2010.

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