2012年05月15日

『gate control theory』と『広汎性侵害抑制調節』【痛みの抑制@】

私たちは日常的に、痛みが生じると、思わずその部位をさすったり、他の部位をつねったりして痛みを和らげようとします。そして、実際に痛みが和らぐことを体験します。


この、痛いところをさすると痛みが和らぐ現象を説明しようとして、1965年にMelzackとWallという人物によって、『gate control theory(ゲートコントロールセオリー)』という痛み抑制理論が提唱されました。


この理論は、当時としては大変斬新なもので、その後の痛みの研究や治療の新しい時代を拓くものとなりました。しかし、その後いくつかの誤りが指摘され、否定的な実験事実が確認されたため、科学的価値は低いとされています。


一方、痛いところとは別のところをつねったりすると痛みが和らぐ現象を説明しようとして、1979年にLe Barsという人物らによって、『広汎性侵害抑制調節(DNIC:diffuse noxious inhibitory controls)』という痛み抑制理論が報告されました。


彼らは、動物実験で、全身の広範な部位に加えた侵害刺激(C線維刺激)により、脊髄の広作動域ニューロン二次侵害受容ニューロン)の興奮性が抑制されることを示しました。この『広汎性侵害抑制調節』は、鍼灸や経皮的末梢神経電気刺激(TENS:transcutaneous electrical nerve stimulation ※病院のリハビリでよく使われている電気刺激装置)などの、身体の表面からなんらかの刺激を加える痛み治療法による鎮痛メカニズムの一つと考えられています。


彼らは侵害刺激を用いての実験結果を報告していますが、2002年に別の人物が示した注目すべき実験結果があります。それは、非侵害性の刺激でも、痛みが生じているところから離れたところを刺激すると、痛みが抑制されるというものです。この実験では、例えば、温水を手に浸すと、温水に浸さない場合に比べて、その手から離れた場所の痛みの強さが小さくなりました。


痛いときに、さすったりつねったりすると、痛みが和らぐのは、実験でも確かめられていて、そのメカニズムも明らかになってきています。痛いときに、さすったりつねったりすることは、決して無駄なことではないようですね。(^^)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識(上)基礎編,技術評論社.2010.

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posted by ふなこしのりひろ at 22:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ