2012年05月27日

病態による分類【痛みの分類@】

『痛み』といっても、様々な種類があります。『痛み』にはどのようなものがあるか、様々な観点から分類することが出来ます。今回は、『病態』に注目して『痛み』を分類します。『病態』の違いによって『痛み』は、急性痛慢性痛に分けることが出来ます。


従来、『痛み』は、その持続時間によって、急性痛慢性痛に分類されてきました。しかし、現在では、両者の病態や発生メカニズムがまったく違うものであることが示され、『痛み』は決して時間的経過によって分類、定義されるものではないと捉えられています。


@急性痛
急性痛とは、『痛み』を感じている場所に、『痛み』の原因を確認できる『痛み』のことです。けがや急性の病気で経験する『痛み』、手術後に経験する『痛み』などは、急性痛です。このような『痛み』の多くは一過性のもので、その原因となっている疾患が治れば、『痛み』も消失します。急性痛は鎮痛薬で『痛み』を軽減することができます。

急性痛は、本来生物に備わっている、組織が損傷していること、生体が危機にさらされていることを知らせる警告信号です。安静が必要なことを知らせて、それによって治癒を促すようにさせています(生体警告系)。


A慢性痛
慢性痛とは、『痛み』を感じている場所に、『痛み』の原因を確認できない『痛み』のことです。組織損傷が治癒しているのに痛い、画像や血液検査によって異常がみつからないのに痛い、いつまでも痛みが続く、という場合などは、慢性痛です。慢性痛は、手術や薬での治療が奏功しません。

慢性痛は、生体警告系の役割を果たすものではなく、ただただ生活の質QOLquality of life)を著しく損なう病態といえます。生活の質とは、人間らしく生活しているか、自分らしく生活しているか、幸福な人生であるか、ということを尺度として捉える概念です。

慢性痛の発生については、神経系の感作可塑的変化によって生じるといった、新たな病態メカニズムが提示されています。感作とは、感じやすくなっている、反応しやすくなっている状態のことです。可塑とは、形を変えやすいことで、可塑的変化とは、変形して元に戻らないような変化のことです。『痛み』の情報伝達系は、何にでも変わりうる自由度が高い、つまり可塑性が高く、この可塑性の高さが『痛み』の神経回路に歪みを生じやすくさせています。

強い痛みが持続すると、『痛み』の神経回路に、混線などの歪み、すなわち可塑的変化が生じ、その結果、接触や熱のような非侵害性の体性感覚刺激、精神、自律神経系などに加わる様々な刺激を、『痛み』として感じてしまうようになります。「触るだけで痛い」「冷えると痛い」「ストレス下や緊張時に痛みが増す」など、『痛み』にとりつかれた“痛み病”とでもいうべき状態となり、通常では『痛み』を感じないような刺激や状況下において、『痛み』を感じるようになります。


以上のように、急性痛慢性痛はまったく違った病態です。慢性痛は複雑な病態であり、多様な症候や徴候を示す症候群であります。急性痛は疾患に伴う『一症状』ですが、慢性痛は新たな『病気』と捉えられるようになってきています。


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識(上)基礎編,技術評論社.2010.

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posted by ふなこしのりひろ at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ
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