2012年06月03日

皮膚の痛み【運動器の痛み@】

骨、関節、骨格筋、末梢神経など、身体運動に関わる末梢組織を総称して『運動器』といいます。厚生労働省が行っている国民生活基礎調査の2010年の有訴者率をみると、男性の第1位は『腰痛』、第2位は『肩こり』、第5位は『手足の関節の痛み』、女性の第1位は『肩こり』、第2位は『腰痛』、第3位は『手足の関節の痛み』となっており、多くの国民が『運動器』の痛みを訴えていることがわかります。そこで、『運動器』の痛みについて整理していこうと思います。今回は皮膚の痛みについてです。


まず、皮膚の構造について整理していきます(図1)。皮膚は、その表層から順に、表皮真皮皮下組織に区分されます。さらに表皮は、表層から順に、角質層顆粒層有棘層基底層に区分されます。場所によって異なりますが、皮膚の厚さは約0.5〜4.0mm、表皮の厚さは約0.2mmです。ちなみに、表皮には毛細血管が存在しないため、浅い表皮の傷、表皮剥離では出血しません。

皮膚の構造.jpg

図1:皮膚の構造



皮膚には、触覚圧覚温度覚温覚冷覚)、痛覚を感知する多数の感覚受容器が存在します。皮膚において、それぞれの感覚を感じるところ、つまり感覚受容器があるところを感覚点といいます。痛覚の感覚点は痛点といい、そこには痛覚受容器があります。痛点は全身に200万〜400万個、1cm2あたり50〜350個存在するとされ、感覚点の中で最も多いです。


痛覚受容器は、別名を侵害受容器といい、【痛みの経路A】で説明したとおり、自由神経終末に存在します。侵害受容器には、高閾値機械受容器ポリモーダル受容器があり、機械的刺激、熱刺激、化学的刺激に反応します。ちなみに、温度覚の受容器(温受容器と冷受容器)も自由神経終末に存在します。45℃以上の高温、10℃以下の低温では、温度覚の受容器は興奮せず、侵害受容器が興奮します。


皮膚において、自由神経終末は、皮下組織表皮基底層まで分布が確認されています。表皮基底層より表層では自由神経終末の分布はないので、皮膚に角質がはがれ落ちるような刺激(例えば、アルコール綿で皮膚をこするような刺激)を加えても、『痛み』を感じることはありません。


つまり、ヒトは、表皮基底層まで刺激が伝わらないと、『痛み』を感じることはありません。(^^)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.

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2012年06月05日

筋肉の痛み【運動器の痛みA】

今回は、筋肉の痛みについてです。まずは、筋肉の構造を整理していきます(図1)。


ヒトの筋肉は3つに分類され、骨格筋心筋平滑筋とよばれています。骨格筋は、腕や脚などを動かしたりするもので、一般的に“筋肉”といわれているものは、この骨格筋のことを指していると思われます。心筋は、心臓を動かしている筋肉です。平滑筋は、腸や血管などを動かしている筋肉です。骨格筋は自分の意思で収縮できますが、心筋平滑筋は自分の意思では収縮できません。『運動器』の筋肉は骨格筋でありますので、ここでの説明は骨格筋についてのものになります。


骨格筋は、筋線維とよばれる細胞と、それを包む筋膜で構成されています。筋線維の中の大部分は、筋原線維とよばれる収縮装置で占められています。骨格筋の収縮は、この筋原線維が収縮することで生じます。


筋膜には主に3種類あり、筋内膜筋周膜筋上膜とよばれています。筋内膜は、個々の筋線維を包むものです。筋線維が数十本〜数百本の束になったものを筋束といいますが、筋周膜はこの筋束を包むものです。筋上膜は、筋束が束になった筋肉全体を包むものです。


骨格筋.jpg

図1:骨格筋の構造



筋肉において、『痛み』を生じさせる侵害受容器が存在する自由神経終末は、筋膜や骨格筋内の血管壁に多く分布しています。骨格筋の侵害受容器のうち、高閾値機械受容器は主にAδ線維に、ポリモーダル受容器は主にC線維に存在していると考えらています。


骨格筋内のAδ線維の多くは、伸張などの機械的刺激に反応することが確認されており、骨格筋をストレッチしたときにしばしば感じる『痛み』は、高閾値機械受容器によって感知されたものと考えられています。


骨格筋内のC線維の多くは、圧迫やつまむといった機械的刺激や熱刺激の他に、ブラジキニン、セロトニン、カリウムイオンといった化学物質に反応することが確認されており、筋損傷時の『痛み』は、主にポリモーダル受容器によって感知されたものと考えられています。また、骨格筋内のC線維は、骨格筋の伸張や収縮によって反応することはほとんどありませんが、その中には虚血中の収縮により強い反応を示すものが存在することが確認されています。


つまり、筋肉の『痛み』は筋膜血管壁で感知され、血の巡りが悪い筋肉は『痛み』が生じやすくなると考えられます。(>_<)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
奈良勲 監,内山靖 編:理学療法学事典,医学書院.2006.

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2012年06月06日

骨と腱の痛み【運動器の痛みB】

今回は、骨と腱の痛みについてです。まずは、骨についてです(図1)。骨は、骨質骨膜骨髄軟骨質から構成されています。骨には血管や神経が存在しています。


骨質は、骨の基質で、緻密骨皮質骨)と海綿骨の2種類があります。緻密骨は骨の表層に存在する、極めて硬い骨です。海綿骨は骨の内側に存在し、網目状の構造物である骨梁を形成しています。


骨膜は、骨の表面を覆い保護している結合組織です。血管や神経に富んでいます。


骨髄は、骨の内部の空洞(骨髄腔)を満たしている軟らかい組織です。


軟骨質は、弾性力に富む組織で、血管や神経は存在しません。関節軟骨などがあります。


骨の構造.jpg

図1:骨の構造(大腿骨(太ももの骨))



骨において、『痛み』を生じさせる侵害受容器は、骨膜に高密度に分布し、骨髄骨質緻密骨海綿骨)にも存在しています。しかし、軟骨には存在していません。


続いて、腱についてです(図2)。腱は、筋肉の両端に存在する強靭な結合組織で、骨に付着しています。筋肉との結合部(筋腱移行部)では、筋細胞と強固に結合しています。骨との付着部では、骨膜の結合組織とよく癒合し、一部は皮質骨と強固に付着しています。


腱は、一般的に円形に近いひも状の構造ですが、膜状に広がったものもあり、これを腱膜といいます。


靱帯の構造.jpg

図2:腱



腱や腱膜には、『痛み』を生じさせる侵害受容器が高密度に分布しています。


つまり、『痛み』は骨でも腱でも感知されます。ただ、軟骨では感知されません。(^_^;)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
橋本辰幸,熊澤孝郎:痛みの病態生理学 第8回 基礎:筋・骨・関節の痛み.理学療法25(7):1095-1101,2008.
中村隆一,齋藤宏,長崎浩:基礎運動学 第6版,医歯薬出版.2003.
奈良勲 監,内山靖 編:理学療法学事典,医学書院.2006.

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2012年06月07日

関節の痛み【運動器の痛みC】

今回は、関節の痛みについてです。まずは、関節の構造を整理していきます。


関節とは、2個またはそれ以上の骨が連結する部分のことです。骨が連結する部分を関節とよんでいるので、関節には、動くものもあれば、動かないものもあります。関節を分類すると、以下のようになります(図1)。


関節の分類.png

図1:関節の分類



動かない、もしくは動いてもごくわずかな関節を、不動関節もしくは不動性結合といいます。一方、よく動く関節を、可動関節もしくは滑膜性関節といいます。一般的に“関節”といえば、滑膜性関節のことを指していると思われます。


不動性結合は、線維性連結軟骨性連結骨性連結に分類されます。


線維性連結は、骨が線維性結合組織というもので連結されているものです。例えば、靱帯だけで連結されているものや、歯と歯茎の連結などです。


軟骨性連結は、骨が軟骨で連結されているものです。軟骨の種類によって、硝子軟骨結合線維軟骨結合に分類されます。線維軟骨結合の例としては、背骨にある脊柱椎間板連結が挙げられます。


骨性連結は、骨が骨で連結されているものです。多くの場合、軟骨性連結から転化し、複数の骨が一つの骨になったものです。例として、骨盤の骨が挙げられます(骨盤の左右片方の骨を寛骨といい、寛骨はもともと腸骨、坐骨、恥骨に分かれています)。


滑膜性関節は、関節包というもので骨と骨が袋状に包まれて連結されているものです。関節包は、内側の滑膜と、外側の線維膜に分けられます。関節包の中(関節腔)は、滑膜から分泌される滑液という液体で満たされています。この滑液は、関節が動くとき、潤滑剤の役目を果たします。滑膜は伸張性を有していますが、線維膜は伸張性に乏しいです。滑膜性関節という名前は、滑膜が存在する関節ということが由来だと思われます。(図2)


関節の構造.jpg

図2:滑膜性関節の基本構造



多くの関節には、靱帯が存在します。靱帯は骨と骨を連結する線維性結合組織です。靱帯は、関節の安定性を高め、運動方向を制御する役割を担っています。靱帯は、栄養や酸素を供給する血管が非常に少ない組織です。そのため、靱帯が断裂すると、その自然治癒は期待できず、再建するには手術が必要となります。


関節包の中にある骨の先端には、関節軟骨が存在します。【運動器の痛みB】でも紹介しましたが、関節軟骨には、血管や神経が存在しません。そのため、関節軟骨への栄養供給は、滑液によりなされます。その栄養供給は、関節運動によってなされます。関節が動くことにより新鮮な滑液関節軟骨に吸収され、同時に古い滑液関節軟骨から排出されます。このことから、関節軟骨は適度な関節運動によってその栄養状態が保たれ、その構造と機能が維持されています。


関節において、『痛み』を生じさせる侵害受容器が存在する自由神経終末は、関節包全域、靱帯血管壁などに存在します。また、関節軟骨には存在しません。


関節の侵害受容器は、次の3つに分類できます。

@侵害的な圧刺激や過度な関節運動に反応する高閾値機械受容器

A強い圧刺激にのみに反応し、関節運動には反応しない受容器

B正常な関節では、どのような機械的刺激にも反応を示さない、非活動性侵害受容器

正常な関節では、@の高閾値機械受容器のみが反応します。一方、関節に炎症が生じると、@〜Bの全ての侵害受容器が反応するようになるといわれています。


つまり、関節の『痛み』は、関節包靱帯血管壁などで感知され、関節軟骨では感知されません。また、関節に炎症が生じると、正常では反応しない侵害受容器が反応し、『痛み』が増強することになると考えられます。(>_<)


おわり(^^)


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
吉雄雅春 編:標準理学療法学 運動療法学 総論 第2版,医学書院.2006.
奈良勲 監,内山靖 編:理学療法学事典,医学書院.2006.

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2012年06月10日

股関節痛【私の痛みJ】

5月31日、またサーフィンに行ってきました(^^)/。今回は、右の股関節を大きく曲げないように気を付けていたので、前回のような痛みは出ませんでした♪


しかし、その数日前ぐらいに、ストレッチのしすぎか、右の大腿直筋の骨盤側の付け根あたりに痛みが出るようになっていました(^_^;)。歩くときに、右脚が後ろになるとき、大腿直筋が引き伸ばされるときに、痛みがときどき出るようになりました。でも、この痛みは歩き始めてから10秒ほどすると、軽くなり消えていきます。


この大腿直筋の痛みは、サーフィンにはあまり影響はありませんでしたが、その後、しばらく過激な(?)ストレッチはしないようにしました。


最近は、大腿直筋の痛みも軽くなってきています♪そして、右の股関節を大きく曲げても、以前ほど痛みが出なくなっています。さらに、痛みなく、あぐらをかけるようになりました〜!これらは、筋肉をほぐしたり、姿勢や歩き方を直したりした成果なのでしょう。(^^)v


次回のサーフィンは、6月14日に行く予定にしています。その日が良い波の日であるよう、日々筋トレをしながら祈っています。(^^)


つづく・・・


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