2012年06月07日

関節の痛み【運動器の痛みC】

今回は、関節の痛みについてです。まずは、関節の構造を整理していきます。


関節とは、2個またはそれ以上の骨が連結する部分のことです。骨が連結する部分を関節とよんでいるので、関節には、動くものもあれば、動かないものもあります。関節を分類すると、以下のようになります(図1)。


関節の分類.png

図1:関節の分類



動かない、もしくは動いてもごくわずかな関節を、不動関節もしくは不動性結合といいます。一方、よく動く関節を、可動関節もしくは滑膜性関節といいます。一般的に“関節”といえば、滑膜性関節のことを指していると思われます。


不動性結合は、線維性連結軟骨性連結骨性連結に分類されます。


線維性連結は、骨が線維性結合組織というもので連結されているものです。例えば、靱帯だけで連結されているものや、歯と歯茎の連結などです。


軟骨性連結は、骨が軟骨で連結されているものです。軟骨の種類によって、硝子軟骨結合線維軟骨結合に分類されます。線維軟骨結合の例としては、背骨にある脊柱椎間板連結が挙げられます。


骨性連結は、骨が骨で連結されているものです。多くの場合、軟骨性連結から転化し、複数の骨が一つの骨になったものです。例として、骨盤の骨が挙げられます(骨盤の左右片方の骨を寛骨といい、寛骨はもともと腸骨、坐骨、恥骨に分かれています)。


滑膜性関節は、関節包というもので骨と骨が袋状に包まれて連結されているものです。関節包は、内側の滑膜と、外側の線維膜に分けられます。関節包の中(関節腔)は、滑膜から分泌される滑液という液体で満たされています。この滑液は、関節が動くとき、潤滑剤の役目を果たします。滑膜は伸張性を有していますが、線維膜は伸張性に乏しいです。滑膜性関節という名前は、滑膜が存在する関節ということが由来だと思われます。(図2)


関節の構造.jpg

図2:滑膜性関節の基本構造



多くの関節には、靱帯が存在します。靱帯は骨と骨を連結する線維性結合組織です。靱帯は、関節の安定性を高め、運動方向を制御する役割を担っています。靱帯は、栄養や酸素を供給する血管が非常に少ない組織です。そのため、靱帯が断裂すると、その自然治癒は期待できず、再建するには手術が必要となります。


関節包の中にある骨の先端には、関節軟骨が存在します。【運動器の痛みB】でも紹介しましたが、関節軟骨には、血管や神経が存在しません。そのため、関節軟骨への栄養供給は、滑液によりなされます。その栄養供給は、関節運動によってなされます。関節が動くことにより新鮮な滑液関節軟骨に吸収され、同時に古い滑液関節軟骨から排出されます。このことから、関節軟骨は適度な関節運動によってその栄養状態が保たれ、その構造と機能が維持されています。


関節において、『痛み』を生じさせる侵害受容器が存在する自由神経終末は、関節包全域、靱帯血管壁などに存在します。また、関節軟骨には存在しません。


関節の侵害受容器は、次の3つに分類できます。

@侵害的な圧刺激や過度な関節運動に反応する高閾値機械受容器

A強い圧刺激にのみに反応し、関節運動には反応しない受容器

B正常な関節では、どのような機械的刺激にも反応を示さない、非活動性侵害受容器

正常な関節では、@の高閾値機械受容器のみが反応します。一方、関節に炎症が生じると、@〜Bの全ての侵害受容器が反応するようになるといわれています。


つまり、関節の『痛み』は、関節包靱帯血管壁などで感知され、関節軟骨では感知されません。また、関節に炎症が生じると、正常では反応しない侵害受容器が反応し、『痛み』が増強することになると考えられます。(>_<)


おわり(^^)


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
吉雄雅春 編:標準理学療法学 運動療法学 総論 第2版,医学書院.2006.
奈良勲 監,内山靖 編:理学療法学事典,医学書院.2006.

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posted by ふなこしのりひろ at 21:57| Comment(2) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ
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