2012年06月18日

結合組織の治癒@【治癒のしくみ@】

組織損傷の治癒過程は、創傷(体表組織の損傷)、靱帯損傷、腱損傷など、主に結合組織で構成された組織と、筋肉とでは、そのメカニズムがやや異なります。それぞれどのようにして治癒していくのかみていきましょう。今回は結合組織についてです。(^^)


創傷、靱帯損傷、腱損傷など、主に結合組織で構成された組織が損傷すると、残存する細胞が増殖し、損傷された組織を元通りに修復する機転が生じ、治癒へと向かいます。この治癒過程は、@炎症期A増殖期B成熟期の3つに分けることができ、それぞれが独立することなく、オーバーラップしながら進んでいきます。ここでは、創傷の治癒過程をみていきますが、その内容は、靱帯筋膜といった、結合組織で構成された組織の損傷にも、おおむね当てはめること(普遍化)ができるとされています。



@炎症期

炎症期は、【炎症のしくみ】で説明した組織学的変化がみられます。この炎症期が完全に終了する前に、次の増殖期の組織学的変化が始まります。つまり、炎症期で生じた組織学的変化が、増殖期の組織学的変化を促す、橋渡しの役割があります。なかでも、血小板マクロファージから分泌される様々なサイトカイン(PDGF、TGF-β、VEGFなど)は、増殖期の主要な組織学的変化である、肉芽組織形成血管新生に、不可欠なものです。炎症期は、受傷〜7日ほどの時期にみられます。



A増殖期

増殖期は、受傷して約3日〜2週間の時期で、未熟ながらも組織の連続性が修復されます。この時期の主な組織学的変化には、表皮における上皮化真皮(創傷が深い場合は皮下組織筋膜も含む)における肉芽組織形成血管新生があります。


 1.上皮化

創傷によって欠損した表皮は、上皮化とよばれる反応によって治癒します。これは受傷後数分以内に始まります。まず、創部周辺の表皮基底層から、新たなケラチノサイト(角化細胞)が次々に供給され、表皮を埋め尽くし、創表面が閉鎖します。そして、基底層の細胞の働きにより、基底膜基底層真皮の間の膜)が形成されると、上皮化が完了し、表皮の再生が完了します。この上皮化は、その範囲が限られており、創部周辺から2〜3cmの範囲を覆うことしかできないといわれています。


ケラチノサイトとは、角化細胞のことで、表皮の大部分を構成するものです。成熟するに伴い、上方の層へ移行し、表皮の各層を構成します。約2週間で角質層へ移行し、さらに2週間かけて、垢となって剥がれ落ちます。(皮膚の痛み【運動器の痛み@】参照)


 2.肉芽組織形成

肉芽組織とは、主に結合組織で構成された組織の損傷後に起こる修復反応として作られる新生組織のことです。これは、新生血管、結合組織、線維芽細胞などで構成されます。


線維芽細胞とは、結合組織を構成する細胞の一つで、細胞外基質(細胞の周りを構成する骨格のようなもの:コラーゲンなど)を合成します。


炎症期に損傷部へ集まった血小板マクロファージなどから分泌されるサイトカイン(PDGF)は、線維芽細胞を刺激します。その結果、受傷後3〜5日までに、活性化した線維芽細胞が、創部に集積、侵入し、創部において最も有意な細胞となります。そして、血小板、活性化したマクロファージ線維芽細胞からは、別のサイトカイン(TGF-β)が分泌されます。そのサイトカイン(TGF-β)は、線維芽細胞を増殖させ、線維芽細胞細胞外基質の合成を促します。すると、創部は、細胞外基質で埋め尽くされるようになります。これが、肉芽組織形成といわれる反応です。


この肉芽組織は、徐々にコラーゲンに置き換わっていきます。ただ、この時期のコラーゲンは、主にタイプVコラーゲンで構成されており、線維自体も細く、線維束も形成していないことから、抗張力に乏しいものとなっています。


コラーゲンとは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨などを構成するタンパク質の一つで、細胞外基質の主成分です。コラーゲン線維は、太い方から順に、T〜Xに分類されます。


 3.血管新生

増殖期では、新たに形成された肉芽組織の構成成分に、酸素と栄養素を供給するため、血管新生とよばれる反応がみられます。この反応の中心的役割をなすのが、血管内皮細胞です。これは、マクロファージ線維芽細胞から分泌されるサイトカイン(FGF、VEGFなど)によって刺激を受けると、分裂、増殖し、創部に集積してきます。その結果、創部には毛細血管が新生し、毛細血管ネットワークが作られていきます。なお、血管新生の乏しい肉芽組織は、創傷治癒が遅延、障害され、難治性になるとされています。



つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
奈良勲 監,内山靖 編:理学療法学事典,医学書院.2006.

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