2012年07月06日

組織損傷後の炎症の痛み【痛みと組織損傷A】

2.組織損傷後の炎症に伴う『痛み』発生メカニズム

組織が損傷され、一次痛二次痛神経性炎症が生じた後、本来の炎症が生じます(組織損傷・治癒のしくみ参照)。炎症が生じると、ほとんどの場合、『痛み』が生じます。これは、炎症に関する様々な化学物質によるものです。


通常、組織が損傷を受けて数十秒後には、炎症に起因した化学物質による『痛み』が生じ始め、この『痛み』が持続します。そのメカニズムは以下の通りです。


@組織損傷から数十秒後

まず、損傷を受けた組織(細胞)から、カリウムイオン水素イオンアデノシン三リン酸ATP)などが漏出し、血小板からはセロトニン肥満細胞からはヒスタミンが放出されます。そして、これらの化学物質が、ポリモーダル受容器を刺激することで『痛み』が生じます。


また、血液凝固が生じると、ブラジキニンが産生されます。これも、ポリモーダル受容器を刺激し、『痛み』が生じます。


ブラジキニンが産出されると、いくつかの化学反応の結果、プロスタグランジンが合成されます。プロスタグランジンは、単独では発痛作用はありませんが、ブラジキニンによる発痛作用を増強させます。


このように、様々な化学物質がポリモーダル受容器を刺激しますが、それにより、前回説明した神経性炎症も引き起こされることになります。この神経性炎症によっても『痛み』が生じます。


A組織損傷から30〜60分後

組織が損傷を受けてから30〜60分ほど経過すると、好中球マクロファージリンパ球などの、白血球に属する細胞が炎症の主役となります。マクロファージは、ブラジキニンなどと反応し、インターロイキン腫瘍壊死因子などを放出します。これらがポリモーダル受容器を刺激し、『痛み』が生じます。


また、インターロイキンは、線維芽細胞ケラチノサイト角化細胞)などを活性化させます。そして、線維芽細胞は、ブラジキニンインターロイキンの作用によって、プロスタグランジン神経成長因子を放出します。ケラチノサイトは、インターロイキンの作用によって神経成長因子を放出します。神経成長因子は、ポリモーダル受容器を刺激し、『痛み』が生じます。


神経成長因子はさらに、神経線維に取り込まれ、神経細胞体に運ばれると、『痛み』を生じさせるサブスタンスPカルシトニン遺伝子関連ペプチドTRPV1受容体などの、発現増加に影響を及ぼします。すると、結果的に、『痛み』の増強や持続を招くことになります。


TRPV1受容体は、熱刺激を受容する、ポリモーダル受容器に存在する受容体です。43℃以上の熱によって活性化します。また、トウガラシの主成分であるカプサイシンや、水素イオン)によっても活性化します。ブラジキニンATPなど、ほかの化学物質の作用により、閾値温度が30℃まで低下する特徴があります。したがって、炎症が生じているときは、体温自体がTRPV1受容体を活性化させ、『痛み』の増強に影響を及ぼします




以上のように、炎症時には、様々な化学物質が生成され、その化学物質が『痛み』を引き起こすことになります。(>_<)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.

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posted by ふなこしのりひろ at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ