2012年08月03日

関連痛【痛みと組織損傷F】

組織が損傷して『痛み』が生じる場合、多くはその損傷した部分に『痛み』を感じます。しかし、ときとして、損傷したところとは異なる部分に『痛み』を感じることがあります。このような『痛み』を、関連痛といいます。


関連痛は、内臓や筋肉などの深部組織が損傷された場合に生じることがあります。例えば、狭心症の『痛み』は、胸だけでなく、左腕に感じることが多く、顎や腹部に感じることもあります。胆石症肝臓の疾患では心窩部(みぞおち)や右肩に、膵臓の疾患では左肩に、尿路結石症では腰に『痛み』を感じることがあります。このような関連痛は、内臓や筋肉だけでなく、骨や関節の損傷でも生じることがあります。


なぜこのような関連痛が生じるのでしょうか??これには様々な説がありますが、まだ結論には至っていません。ここではいくつかの説を紹介します。それらの説を紹介する前に、深部組織の損傷は、どこで生じたのか分かりにくいという特徴を説明します。


組織の損傷は主に『痛み』によってどこが損傷しているかを知ることになりますが、深部組織の損傷の場合、『痛み』によってどこが損傷しているか特定しにくいという特徴があります。脳の中には、刺激を受けた場所を特定する部位があります。その部位は、一次体性感覚野であり、そこには“身体地図”が存在します(急性痛の知覚【脳の中の痛みA】参照)。しかし、その“身体地図”は皮膚などの体表面についてのものであり、内臓などの深部組織に関する明確な地図はありません。そのため、内臓などの深部組織が損傷された場合、『痛み』によって損傷したところを特定することは、難しいこととなります。


ここからは、関連痛のメカニズムについての説を紹介します。


@ニューロンの収束投射説

皮膚などの体表面の『痛み』を伝える侵害受容ニューロンとシナプスを形成している次の侵害受容ニューロンが、内臓などの深部組織の『痛み』を伝える侵害受容ニューロンともシナプスを形成している、つまり、体表面と深部組織からのニューロンが、ある特定のニューロンに収束しているために生じるという説(図1)。

収束投射説.jpg
図1:ニューロンの収束投射説



A同一ニューロン説

解剖学的に、一次侵害受容ニューロンは枝分かれし、異なる部位を支配するという特徴があり、同一の一次侵害受容ニューロンが体表面も深部組織も支配しているために生じるという説(図2)。

同一ニューロン説.jpg
図2:同一ニューロン説



以上のように、深部組織が損傷した場合は、損傷したところとは異なるところに『痛み』を感じることがあります。逆に、身体の表面付近にどこも悪いところがないのに『痛み』を感じるときは、もしかしたら深部組織が損傷しているのかもしれません・・・。(>_<)


おわり(^^)


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識(上)基礎編,技術評論社.2010.

Feuno-logo-finish-small.jpg
股関節、腰、膝の痛みセラピー
『Feuno/フーノ』
ホームページはこちら


posted by ふなこしのりひろ at 23:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ
スポンサーリンク