2012年08月19日

前頭前野【脳の中の痛みI】

F前頭前野

前頭前野は、『痛み』の情動認知記憶といった統合的な面に関わり、急性痛よりも慢性痛で特に関与することが明らかになっています。


前頭前野は、視覚情報と体性感覚情報の不一致によって『痛み』や不快感が生じ、その不一致の際に、前頭前野が活動することが報告されています。


前頭前野に損傷があると洞察力にかけ、将来の計画立案が困難になりますが、慢性痛患者はそうした機能の中心である意思決定能力、意欲の低下を引き起こします。その原因には、前頭前野前帯状回が委縮していることが報告されています。こうした理由からも、慢性痛患者の抑うつ症状が説明されます。


・『痛み』を調節する広汎性侵害抑制調節には、前頭前野中脳中心灰白質が関与します。例えば、プラセボ鎮痛効果には、これらの領域が関与することが明らかになっています。


前頭前野は、下降性疼痛抑制系に関わり、下降性疼痛抑制系の減弱が慢性痛に関与することが考えられています。


・『痛み』を抑制しようと念じると、前頭前野島皮質前帯状回が活動することが明らかにされています。


前頭前野の活動低下が『痛み』の原因と考えられる一方で、痛み刺激に対して前頭前野の活動は増加することも報告されています。この矛盾は、前頭前野は場所によって機能が大きく違うためと考えられています。


内側前頭前野が委縮し活動が減少すると、情動の制御が困難、低下することが想定されます。背外側前頭前野の活動が増加することは、『痛み』に対して注意が向けられていることが想定されます。したがって、内側前頭前野の活動低下、背外側前頭前野の活動増加が、『痛み』に大きく影響することが考えられます。


背外側前頭前野急性痛に関わり、内側前頭前野慢性痛に関わることが報告されています。


内側前頭前野背外側前頭前野はお互いに抑制の関係にあり、背外側前頭前野が過活動になると内側前頭前野の活動を抑制してしまう可能性があります。


今回で、『痛み』に関連する脳の領域の機能や特徴についての説明を終わります。これまでみてきたように、『痛み』を感じるということは、脳の活動によることが分かります。つまり、身体を傷めていなくても、脳の中で『痛み』を感じさせるような活動が起こりさえすれば、『痛み』は生じてしまいます。(>_<)


つづく・・・


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.

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posted by ふなこしのりひろ at 21:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ