2013年05月19日

推進力の生成E【歩行の基本G】

3.フォアフットロッカーA


前々回説明したアンクロッカーは、中足骨頭が床に着くことで始まり、踵が持ち上がることで終わります。


前回説明した体重ベクトルは、アンクルロッカーが生じているとき、踵から前方へ移動してきます。


フォアフットロッカー.JPG
図1:フォアフットロッカー



そして、体重ベクトル中足骨頭に達すると、踵が持ち上がっていきます。つまり、中足骨頭を支点として、脚が前方へ回転していきます。これを、フォアフットロッカー(前足部ロッカー)といい、アンクルロッカーに続いて生じます(図1)。


フォアフットロッカーで踵が持ち上がり始めると、身体は前方へ落下し始めます。このとき、身体の前進は加速されます。この加速は、歩行の中で、最も大きな推進力となります。またこのとき、重心は最も高い位置にあります。


この推進力は、重力による身体の落下(位置エネルギー)と、前方に振り出されている反対側の脚の運動量(運動エネルギー)によるものです。


フォアフットロッカー筋.JPG
図2:ヒラメ筋と腓腹筋



フォアフットロッカーでは、ヒラメ筋腓腹筋という筋肉が重要な働きをします(図2)。


腓腹筋は、大腿骨と踵を結ぶ筋肉です。


フォアフットロッカーが生じているとき、ヒラメ筋腓腹筋は、足関節を固定する役目を果たしています。


フォアフットロッカー筋なし.JPG
図3:ヒラメ筋と腓腹筋が働かない場合のフォアフットロッカー

※ヒラメ筋と腓腹筋が働かない場合、アンクルロッカーも適切に行われなくなる。
そのため、フォアフットロッカー開始時の脚の姿勢は通常とは異なる。



ヒラメ筋腓腹筋が働かないと、足関節が過度に背屈してしまいます(反ってしまいます)。そうなると、適切に踵が持ち上がらなくなり、フォアフットロッカーの利点が失われてしまいます(図3)。


また、重心も低くなってしまい、様々な悪影響が出てしまう歩き方となってしまいます。


つづく・・・


〈主な参考文献〉
Jacquelin Perry,Judith M. Burnfield:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.

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2013年05月20日

推進力の生成F【歩行の基本H】

3.フォアフットロッカーB


前回説明したフォアフットロッカーが生じている期間は、踵が持ち上がってから、反対側の足が床に着くまでです。


フォアフットロッカー筋の働き.JPG
図1:フォアフットロッカーでのヒラメ筋と腓腹筋の働き



このフォアフットロッカーが生じているとき、足関節は背屈角度を大きくしていきます(反っていきます)。


また、このとき、脛骨の前進は、加速するどころか減速していきます。


その中で反対側の足が床に着くのです。


つまり、このときのヒラメ筋腓腹筋の活動は、推進力として働くのではなく、身体が前進しようとする慣性力を抑制するために働いているのです(図1)。


プッシュオフ.JPG
図2:実際の自然歩行と地面を蹴るときの足関節

※a:実際の自然歩行の姿勢。足関節はやや背屈する(足首が反る)。
b:地面を蹴る場合の姿勢。足関節は底屈する(足首を倒す)。自然歩行ではこの動きは生じない。



このフォアフットロッカーが生じている期間に対して、よくプッシュオフ(push off:踏み切り、蹴り出し)という用語が用いられます。


このプッシュオフという言葉からは、「地面を蹴って前へ進む」というニュアンスを感じ取ってしまうと思います。


しかし、先ほど説明したように、自然歩行(普段の歩行、自然に楽に歩いている状態)でのこの期間では、「地面を蹴る」ようなことはしていません(図2a)。


「地面を蹴る」には、足関節を底屈させなければ(倒さなければ)いけません(図2b)。しかし、そのようなことは生じておらず、むしろ逆に背屈していきます(図2a)。


多くの人が、このプッシュオフという用語によって、実際の正しい歩き方のしくみを誤解してしまっているように感じます。。。(>_<)


次回は、トウロッカーについて説明していきます。(^^)/


つづく・・・


〈主な参考文献〉
Jacquelin Perry,Judith M. Burnfield:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.
Donald A Neumann:筋骨格系のキネシオロジー(嶋田智明・他監訳).医歯薬出版,2005.
中村隆一,齋藤宏,長崎浩:基礎運動学 第6版,医歯薬出版.2003.

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