「衝撃を吸収する」ということについて、みなさんはどのようなことが思い浮かぶでしょうか??
荷物を宅急便で出すときに、段ボールに緩衝材を入れることでしょうか?
飛んできたボールを受け取るとき、手や足を後ろへ引きながら受け取ることでしょうか?
ジャンプして着地するとき、脚を曲げながら着地することでしょうか?
どれも有効に衝撃を吸収できますよね。(^^)/
「衝撃を吸収する」とは、「加わる力をできるだけ小さくする」ということです。
では、これらの「衝撃の吸収」、どのようなしくみで衝撃が吸収されるのでしょうか??
ここからは、少し物理の話になります。
物体には、物体の質量をm、物体の速さをv、物体に加わる力をF、物体に力が加わっている時間をtとすると、次の関係が成り立っています。
mvは、物体の質量と速さを掛けたもので、物体の運動の激しさを表し、運動量といいます。
Ftは、物体に加わる力とその時間を掛けたもので、力積といいます。
式1は、「運動量の変化は加えられた力積に等しい」ということを表しています。
式1の左辺の運動量の変化は、同じ物体では速さの変化(v1→v2の変化)ということになります。
式1の右辺の力積は、運動量の変化が同じ(左辺の値が同じ)なら、力を加えられた時間が短ければ力の大きさは大きくなり、その時間が長ければ力は小さくなるということになります。
例えば、時速60kmで飛んできたボールを手で受け止めるときを考えてみましょう。
飛んできたボールを受け止めるということは、手の力で、時速60kmのボールの速さを、0にするということです。つまり、ボールの運動量を変化させるということです。
このとき、式1から、手にかかる力の大きさは、どのくらいの時間をかけてボールの速さを0にしたかにかかっています。つまり、1秒かけてボールを受け止めるより、5秒かけてボールを受け止める方が、手にかかる力は小さくなります。
以上のことから、「衝撃の吸収」には、力を受け止める時間が関係していることが分かります。
つまり、「衝撃を吸収する」には、「できるだけ長い時間をかけて力を受け止めると良い」、ということが分かります。
次回は、歩行時の衝撃の吸収について説明していきます。(^^)/
つづく・・・
〈主な参考文献〉
Jacquelin Perry,Judith M. Burnfield:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.
Donald A Neumann:筋骨格系のキネシオロジー(嶋田智明・他監訳).医歯薬出版,2005.
小出昭一郎,阿部龍蔵,他:詳説 物理.三省堂,1988.
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.
Donald A Neumann:筋骨格系のキネシオロジー(嶋田智明・他監訳).医歯薬出版,2005.
小出昭一郎,阿部龍蔵,他:詳説 物理.三省堂,1988.