2014年02月18日

エネルギーの温存J【歩行の基本27】

b.精密な感覚機能

前回説明したように、私たちの歩行は、重力と慣性力を利用しており、筋力はそれらをコントロールするために必要最低限に発揮されているにすぎません。それゆえに、歩行時のエネルギー消費を大きく抑えることが可能となっているのです。


しかし、この筋力は、必要なときに、必要な強さで発揮されなければ、正しい歩き方、エネルギー消費を抑える歩き方はできません。この筋力発揮は、まさに絶妙なコントロールによってなされているのです。



どの筋肉の筋力を、どのタイミングで、どの程度の強さで発揮するかを決めるには、そのときの身体の姿勢を把握していなければなりません。


そして、各関節の位置や、関節がどの方向にどれだけ曲がっているのかを把握していなければなりません。


さらに、歩いているときは、リアルタイムに姿勢が変化し、関節の位置や角度が目まぐるしく変わります。



驚くべきことに私たちは、歩くときの、この恐ろしいほど大量の情報を、無意識に正確に把握しているのです。


それを行っているのが、様々な感覚神経と脳です。感覚神経の末梢の先端には、感覚器といわれる、何らかの物理的刺激や化学的刺激を受け取る受容器があります。



身体の運動を把握する感覚器は、腱、筋肉、靱帯、関節包などに存在し、リアルタイムにそれぞれの動きや状態を観察しています。


この感覚器の情報を元に、脳が、関節の角度、腕や脚の運動の方向や速度、身体の部分的な重量、筋肉の状態などを把握します。視覚平衡覚なども、姿勢の把握に役立っています。


そして、この把握を元に、歩くとき、適切なタイミングと強さで筋力を発揮させています。


つまり、私たちは歩くとき、感覚神経と脳による精密な感覚機能が働いているおかげで、必要最低限の筋肉、筋力しか使わずに済んでいるのです。


ちなみに、感覚神経が障害されているとき、ただ単に関節を動かすことは簡単にできるにも関わらず、歩行が困難になることがあります。



今回で、「選択的な筋肉の制御」、そして「エネルギーの温存」についての説明は終わりになります。これまでの説明で、私たちが歩いているとき、様々な工夫、無意識で緻密な計算によって、エネルギーの消費が最大限に抑えられていることが分かりますね。(^^)/


また、今回で、長らく続いた「歩行の基本」も終わりになります。私たちが行っている直立二足歩行は、とても便利な歩行方法ですが、それ相応の複雑で緻密な仕掛けや計算によって行えているのです。この絶妙な仕掛けを忘れずに活用して、正しい歩き方で、快適な毎日を過ごして下さい!!


おわり(^o^)/


〈主な参考文献〉
Jacquelin Perry,Judith M. Burnfield:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.
Donald A Neumann:筋骨格系のキネシオロジー(嶋田智明・他監訳).医歯薬出版,2005.

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posted by ふなこしのりひろ at 23:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 歩行のしくみ
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