2012年05月30日

原因による分類【痛みの分類B】

今回は『原因』に注目して、『痛み』を分類します。『痛み』は、『原因』に注目すると、侵害受容性疼痛神経障害性疼痛心因性疼痛に分けることができます。


@侵害受容性疼痛
侵害受容性疼痛は、もっとも一般的に生じる『痛み』です。機械的刺激、熱刺激、化学的刺激により、組織の侵害受容器が直接的に刺激されて『痛み』が生じますが、その後、損傷された組織や一次侵害受容ニューロン末端から放出される痛み関連物質によっても侵害受容器が刺激され、『痛み』が生じます。

侵害受容性疼痛は、体性痛と内臓痛に分けられ、さらに体性痛は表在痛(皮膚、粘膜)と深部痛(骨関節、骨格筋など)に分けられます。

侵害受容器が持続的に刺激されると、侵害受容器が感作末梢性感作)し、さらに中枢神経系にも感作が生じ(中枢性感作)、『痛み』は持続、憎悪することになります。


A神経障害性疼痛
神経障害性疼痛に似たような言葉で、神経因性疼痛というものがあります。神経因性疼痛とは、原因が神経系にある『痛み』のことで、侵害受容器の興奮が出発点ではない『痛み』を意味します。神経因性疼痛のうち、神経系が損傷しているものを神経障害性疼痛といいます。神経系が損傷していない場合の例としては、長時間正座をしていて生じる脚のしびれ感が挙げられ、これは神経因性疼痛に分類されます。

神経障害性疼痛は、慢性痛の代表的なもので、『痛み』の伝達や抑制機構に関わる中枢神経系および末梢神経系の、一次的障害または機能異常によって生じる『痛み』です。末梢神経損傷、脳卒中、脊髄損傷など、様々な神経損傷によって生じる可能性があります。アロディニア痛覚過敏のほか、様々な知覚異常を伴うことが多く、発汗や皮膚温の異常など交感神経の過剰興奮症状を示すこともあります。

発生メカニズムとして、交感神経を含む末梢神経や中枢神経に生じた、機能的、器質的(構造的、形状的)変化が複合的に関与すると考えられています。

末梢神経では、刺激に対する感受性の亢進、損傷部での異常興奮の発生、エファプスの形成、末梢神経の発芽、軸索反射(逆行性伝導)、交感神経末端からのプロスタグランジンの放出、αアドレナリン受容体の発現と増加、神経腫の形成、異所性興奮などが関与しています。

エファプスとは、2個以上の神経が正常なシナプスを形成せずに電気的に接合する部位のことです。通常神経は電気的に絶縁されていますが、神経が損傷して絶縁状態でなくなると、その部分が接触することにより、電気刺激が通常とは異なる神経に伝達されてしまいます。

中枢神経では、脊髄後角の感受性の亢進や異常興奮、大脳皮質感覚野の再構築、前頭前野の機能異常、下行性疼痛抑制系の機能低下などが関与すると考えられています。


B心因性疼痛
心因性疼痛とは、器質的、機能的病変がない、またはあったとしても『痛み』の訴えと合致しない場合で、心理的要因が大きく影響する『痛み』です。


慢性痛では、時間経過に伴い、侵害受容性疼痛神経障害性疼痛心因性疼痛が加わり、その割合が増大していくことが多いです。これらの『痛み』は、個々に独立して存在するのではなく、重複して存在することが多いと考えられています。


おわり(^^)


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.
小山なつ:痛みと鎮痛の基礎知識(上)基礎編,技術評論社.2010.

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posted by ふなこしのりひろ at 18:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ
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