2012年08月06日

末梢組織の変化【痛みと不活動B】

不活動状態による『痛み』発生のメカニズムについて、神経系の変化以外に、末梢組織の変化も考えられます。


沖田らは、前々回で紹介した実験で用いたラットの、足底部の皮膚の肉眼的、組織学的変化を調査しました。


ギプス固定後の肉眼的変化としては、皮膚の荒れが特徴的でありました。これは実際の患者さんにも、しばしば見られる現象です。ギプス固定後の組織学的変化としては、角質層皮膚の痛み【運動器の痛み@】参照)の乱れが認められました。これは、肉眼的変化として観察された皮膚の荒れを裏づける結果です。


また、ギプス固定後は表皮の菲薄化も認められました。実際に表皮の厚さを計測したところ、ギプス固定期間に応じて表皮の厚さは減少していき、ギプス固定2週間後4週間後は、有意に表皮の厚さが減少していました。


表皮の菲薄化は、自由神経終末が分布する表皮基底層と外界との距離が短くなることとなり、このような状態になると、正常な状態と比べて、外界の刺激を鋭敏に感じやすくなるのではないかと推測できます。実際、前々回紹介した沖田らの実験結果では、ギプス固定2週間後から機械的刺激に対する痛覚閾値の低下が認められており、表皮の厚さが有意に減少する時期と一致しています。


したがって、不活動状態による『痛み』の発生には、表皮の菲薄化が関与している可能性が十分に考えられます。


不活動状態による『痛み』発生のメカニズムに関連する末梢組織の変化は、表皮の菲薄化以外にも存在することが予想されますが、現時点では、このことに関する研究報告はほとんどなく、今後の研究成果が待たれるところであります。


おわり(^^)


〈主な参考文献〉
松原貴子,沖田実,森岡周:ペインリハビリテーション,三輪書店.2011.

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股関節、腰、膝の痛みセラピー
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posted by ふなこしのりひろ at 17:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 痛みのしくみ
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