2014年01月18日

衝撃の吸収D【歩行の基本O】

4.股関節での衝撃の吸収

股関節衝撃吸収.jpg
図1:踵接地時の骨盤の落下(股関節の内転)(正面から見た図)



私たちは歩くとき、2本の脚で交互に身体を支えています。


歩いているとき、例えば右の足が床に着くと、身体の重心がその脚に移動していきます。


スムーズに歩くためには、左の脚は素早く前に振り出されなければなりません。


そのため、右足が床に着いた後、左脚は身体を支えることを速やかにやめてしまいます。


すると、身体の左側は支えがなくなってしまうため、落下していってしまいます(図1)。


実際的には、右の股関節を軸にして骨盤の左側が落下していきます。そして、この骨盤の左側は、約4°落下すると止まります(左足が右足を通過するころと思われる)(図1-b)。


この骨盤の左側が約4°落下している間に、衝撃の吸収が行われています。


落下と内転.jpg
図2:骨盤の落下と股関節の内転
b:aの青色と水色の図の骨盤の位置を一致させた図(左脚は消している)



内転外転.jpg
図3:内転と外転



この骨盤の左側の落下は、右の股関節の動きで言い換えると、右の股関節が内転しているということになります(図2)。


内転とは、身体を正面から見て、腕や脚などが身体の中心に向かう動きのことです(図3-a)。ちなみに、内転の反対の動きである、中心から離れていく動きは、外転といいます(図3-b)。


つまり、股関節でも衝撃の吸収が行われているということです。


上の例で言えば、右の股関節が約4°内転している間に、衝撃の吸収が行われています。


ここでは分かりやすく、骨盤の動きで説明していきます。


足関節や膝関節での衝撃の吸収のときと同様に、この骨盤の落下は、適切な量、適切な時間をかけて行われなければ、衝撃吸収の効果が薄れたり、正しい歩き方を保てなくなったりしてしまいます。


骨盤落下の量が小さかったり、落下する時間が短かったりすると、衝撃を十分に吸収できず、股関節などに大きな力が加わり、身体を損傷してしまいます。


骨盤落下の量が大きいと、衝撃を吸収している途中で身体が落下していき、脚の振り出しが困難となってしまいます。


股関節衝撃吸収筋肉.jpg
図4:股関節外転筋群の働き



この骨盤の落下をコントロールしているのが、骨盤の横にある股関節を外転させる筋肉(股関節外転筋群)です。具体的には、中殿筋小殿筋大殿筋上部線維大腿筋膜張筋後部線維です。


中殿筋小殿筋は、骨盤の外側面と大腿骨の大転子というところを結んでいる筋肉です。小殿筋中殿筋の奥にあります。


大殿筋上部線維は、骨盤の後外側面と脛骨の上外側面を、腸脛靭帯という靱帯を介して結んでいる筋肉です。


大腿筋膜張筋は、上前腸骨棘(ASIS)と脛骨の上外側面を、腸脛靭帯を介して結んでいる筋肉です。


これらの股関節を外転させる筋肉は、踵が床に着いた直後から骨盤の落下が止まるまでの間、筋肉自体が伸ばされながら力を発揮していきます。


つまり、股関節外転筋群が、適切な遠心性収縮をすることで、骨盤の落下をコントロールしています。


そして、この股関節外転筋群が、時間をかけて骨盤の落下を止めることにより、衝撃を吸収するのです。


以上のことから、股関節での衝撃の吸収は、股関節外転筋群(中殿筋小殿筋大殿筋上部線維大腿筋膜張筋後部線維)の働きが重要であることが分かります



以上のしくみで、股関節での衝撃の吸収は行われています。



今回で、衝撃の吸収についての説明は終わりになります。これまでの説明で、私たちが歩いているとき、様々な筋肉が絶妙なタイミングで働いてくれるおかげで、身体を傷めにくくなっているのが分かりますね。このことを忘れずに、正しい歩き方を身につけましょう。(^^)/


次回からは、エネルギーの温存について説明していきます。(^^)/


つづく・・・


〈主な参考文献〉
Jacquelin Perry,Judith M. Burnfield:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.
Donald A Neumann:筋骨格系のキネシオロジー(嶋田智明・他監訳).医歯薬出版,2005.

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posted by ふなこしのりひろ at 19:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 歩行のしくみ
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