2014年02月13日

エネルギーの温存G【歩行の基本24】

e.素早い脚の振り出し

左右の重心移動1.jpg
図1:左右の重心移動


左右の重心移動2.jpg
図2:左右の重心移動



以前エネルギーの温存A【歩行の基本Q】で、二足歩行を行っているときは、重心が左右に移動していることを説明しました(図1、2)。そして、私たちはその重心移動を最小にする工夫として、「素早い脚の振り出し」を行っていると述べました。今回は、これについて説明します。(^^)/


復習になりますが、歩いているときに重心が左右に移動するのは、転倒しないように重心線支持基底面に収めようとしているからです。


もっと正確に言うと、歩いているときに片脚立ちになるとき、支持基底面であるその足の接地面に、重心線を収めようと横に移動しているためです。


つまり、この移動動作は、片脚立ちになる瞬間、重心線支持基底面に収まっていないために生じる動作なのです。



歩行時の転倒戦略.JPG
図3:歩行時に転倒しないための戦略



重心線支持基底面に収まっていない場合、転倒しないようにするには、図3のようにaとbの2つの戦略があります。緑色の矢印は重心線、オレンジ色の部分は支持基底面です。

a:重心線を支持基底面に移動させる
b:支持基底面を重心線が収まるまで広げる


aの戦略をとると、重心を横に移動させることになるため、それに応じたエネルギーが消費されます。


bの戦略をとると、重心を横に移動させる必要がないため、エネルギー消費は最小となります。bの戦略は何をしているかというと、反対側の脚(紫色の棒)を床に着けています。


支持基底面2.jpg
図4:重心線と支持基底面と転倒



エネルギーの温存A【歩行の基本Q】で説明しましたが、支持基底面は、新たな支えを追加すると広がります。転倒しそうなとき、新たな支えを追加して、重心線が収まるよう支持基底面を広げれば、転倒せずにすみます(図4-c')。これを利用して、反対側の脚を新たな支えとして支持基底面を広げることができるのです。


そこで私たちは、エネルギー消費を最小とするため、bの戦略をとろうとします。そして、それを実現しようと、素早く脚を振り出しているのです。


脚の振り出しが遅いと、重心の横移動が必要となりそれによるエネルギー消費が増えるか、もしくは転倒するかのどちらかになります。


実際は、片脚立ちになった瞬間に反対側の脚を床に着くことは不可能であるため、aの戦略を少し取り入れつつ転倒を防ぎながら、素早く脚を振り出しています。


ちなみに、脚の振り出しが素早過ぎてもエネルギー消費が増えます。脚の振り出しが速いということは、歩行速度が速いということです(推進力の生成H【歩行の基本J】参照)。


なお、最もエネルギー消費が少ない歩行速度は、約1.33m/秒(80m/分)との研究結果があります。この速度は、街中を自由に歩く速度にほぼ相当します。この速度より速くても遅くても、エネルギー消費は増加します。


以上のように、私たちは「素早い脚の振り出し」によって、左右の重心移動を最小にする歩き方をしているのです。(^^)/


ちなみに、これまでの研究データによると、左右の重心移動量は、重心移動を最小にする工夫をしていない歩き方では8.0cmほど、工夫をしている歩き方では3.5cmほどです。つまり、工夫をすることによって左右の重心移動量は44%ほどに抑えられているのです。この移動量は、体格の大きさや歩行速度によって異なります。



今回で、「重心移動の最小化」についての説明は終わりになります。


次回からは、もう1つの“エネルギーの温存”の方法、「選択的な筋肉の制御」について説明していきます。(^^)/


つづく・・・


〈主な参考文献〉
Donald A Neumann:筋骨格系のキネシオロジー(嶋田智明・他監訳).医歯薬出版,2005.
Jacquelin Perry,Judith M. Burnfield:ペリー 歩行分析 正常歩行と異常歩行 原著第2版
(武田功・他監訳).医歯薬出版,2012.

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posted by ふなこしのりひろ at 23:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 歩行のしくみ
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