前回までに説明したことを、実際の関節でみてみましょう。図1のように筋肉によって膝を曲げたときの膝にかかる荷重はどのくらいになるでしょうか?
このとき、膝関節は太腿の前面にある大腿四頭筋によって曲がった状態で固定されています。この膝は60°曲げた状態です。私の身体(身長181cm、体重73kg)を例に調べてみます。
図1の、緑色の丸は膝から上の身体の重心、赤い矢印はその重心線、aはその重心から膝関節軸までの距離、bは大腿四頭筋から膝関節軸までの距離です。
これまでの説明のように、大腿四頭筋の筋力は式1で求められます。
Mは膝から上の身体の重量です。他サイトのページ(A基準体重比)に掲載されている情報を元にMを計算してみると、、、Mは体重の85.8%ですので、
M=73×0.858=62.634≒63kg
となります。
aとbは実際に測ってみたところ、
a=18cm b=5cm
でした。
これらの値を式1に当てはめて大腿四頭筋の筋力Tを求めると、
T=63×(18÷5)=226.8≒227kg
となります。
膝関節にかかる荷重は、MとTを足したものですので、その荷重は、
M+T=63+227=290kg
となります。
なんと、このとき膝にかかっている荷重は、290kgもあるのです!!
これは、体重の約4倍の重さです!!
関節を曲げているということは、これだけ大きな荷重が関節にかかっているということなのです!!
これは膝についてだけではなく、どの関節でもそうです。股関節でも、腰でも、首でもそうです。
腰や背中が曲がっていると、それだけ大きな荷重が背骨の関節にかかっているのです。
つづく・・・
〈主な参考文献〉
中村隆一,齋藤宏,長崎浩:基礎運動学 第6版,医歯薬出版.2003.
中村隆一,齋藤宏,長崎浩:基礎運動学 第6版,医歯薬出版.2003.