2012年06月16日

BLSの手順(CPRやAEDの実施)【一次救命処置】

6月15日、職場で開催された、一次救命処置(BLS:Basic Life Support)の講習会を受講しました。この講習会は、JRC(日本版)ガイドライン2010 BLSJRC:Japan Resuscitation Council『日本蘇生協議会』)に準じて行われました。BLSとは、急に心肺停止などで倒れた人に対して、救急隊や医師にその人を引き継ぐまでに行う、応急処置のことです。この応急処置は、特別な専門的機器や医薬品などは使用しないため、正しい知識と方法を知っていれば、誰でもできるものです。適切なBLSが行われれば、救命率が向上することが、多くの研究で明らかになっています。


私は、新入職員研修でこのBLS講習を受けました。それから2年、仕事に追われる中、BLS講習の内容はほとんど忘れてしまっていました(^_^;)。「医療従事者であるにも関わらず、BLSを適切に行えないのは嫌だな〜」と思い、今回受講を申し込みました。そして、BLS講習の内容を忘れないように、復習も兼ねて、ここに記録しておくことにしました。


BLSの基本的な手順は、『@倒れている人を発見』⇒『A周囲の安全確認、感染予防』⇒『B意識有無の確認』⇒『C人手と物を集める』⇒『D気道の確保』⇒『E呼吸、脈の確認』⇒『FCPRの実施』⇒『GAEDの使用』⇒『倒れた人が動き出すか、救急隊が到着するまでF⇒Gを繰り返す』となります。では、Aからそれぞれの内容を少し詳しくみていきましょう。



A周囲の安全確認、感染予防

救命処置は、安全な場所で行います。倒れた人が、車にひかれそうな場所などいるときは、その人を安全な場所まで運んでから救命処置を行います。血液や体液に接触する可能性があるときは、手袋やゴーグルを着用します。



B意識有無の確認

倒れている人の両肩を軽く手でたたいて、「大丈夫ですか?」と声をかけます。



C人手と物を集める

Bで反応がない場合は、「誰か来てください!」と大声で叫びます。集まってきた人に、「119番通報してください」「AEDを持ってきてください」と、相手の目を見て、指をさして依頼します。誰もいなければ、自ら119番通報し、AEDを取りに行き、戻ってきたら次の手順Dを開始します。



D気道の確保

片方の手のひらを額に置いて頭部を後屈させ、もう片方の手の指で顎先を拳上させ、気道を確保します。



E呼吸、脈の確認

自分の耳を、倒れている人の口と鼻の近くにもっていきます。そして、胸の動きを観察し、呼吸の音を聴き、自分の頬で息を感じます(『見て、聴いて、感じて』)。このとき、顎先を拳上させている手で、片方の頸動脈(首の筋肉と気管の間にある)を触り、脈の有無を確認します。この呼吸、脈の確認は、5〜10秒の間で完了させ、時間をかけすぎないようにします。


十分な呼吸があれば、注意深く観察します。


呼吸がないとき、不十分なときは、次の手順Fに進みます。あえいでいる呼吸は、不十分な呼吸とみなします。


ただし、呼吸がないとき、不十分なときに、脈が確実にある場合は、5〜6秒ごとに手順Fで説明する人工呼吸を行い、2分ごとに脈の確認をします。



FCPRの実施

CPR(CardioPulmonary Resuscitation)は心肺蘇生法のことです。CPRは、胸骨圧迫(心臓マッサージ)と人工呼吸からなります。胸骨圧迫を30回行うごとに、人工呼吸を2回行います。


胸骨圧迫の手順は以下になります。
1.倒れている人の横にいく
2.平らで硬い所に横たわっているか確認する
3.胸を覆っている衣類を全て取り除く
4.自分の片方の手のひらの付け根を胸の中央、胸骨の下半分に置く
5.胸に置いた手に、もう片方の手のひらを重ねる
6.両腕を伸ばし、肩が手の真上にくるようにする
7.胸骨を圧迫し5cm以上沈ませる
8.胸骨を元の位置に戻す


胸骨圧迫のポイントは以下になります。
・手のひらの手首側で胸骨だけを圧迫する(肋骨骨折を防ぐため)
・胸骨を5cm以上沈ませる
・圧迫と圧迫の間は胸骨を完全に戻す(心臓に多くの血液を戻すため)
・1分間に少なくとも100回圧迫するペースで行う(0.6秒に1回のペース)


人工呼吸の手順は以下になります。
1.頭部後屈、顎先拳上し、気道を確保する
2.額に置いた手で、鼻をつまむ
3.倒れている人の口を、自分の唇で覆う
4.1秒で息を吹き込み、胸の動きを確認する


人工呼吸のポイントは以下になります。
・1回に1秒かけて、2回息を吹き込む
・息の吹き込みは、速すぎず、強すぎないようにする
 (息が胃に入ってしまうことで嘔吐が引き起こされるのを防ぐため)
・胸が拳上しなければ、再度気道確保を行う
・10秒以内で終了する(胸骨圧迫の中断を10秒以内にする)


口と口で行う人工呼吸は、行えないときは行わなくてもよいとされています。口と口で行う人工呼吸は、感染に対する心配や不安、パニックや手技の難しさなどによって、躊躇されることが多いようです。そのようなときは、無理して行わず、胸骨圧迫だけを行います。


また、バッグバルブマスクBVM)という、人工呼吸を行うための簡単な道具もあります。医療施設などには置いてありますので、これを利用することもできます。


このCPRでは、倒れている人が動き出すか、救急隊に引き継ぐまで、脈拍のチェックなどもせず、特別な場合(AEDを使用する、危険から逃れる、気管内挿管など)を除いて、ひたすら胸骨圧迫30回と人工呼吸2回を繰り返し行います。救助者が2人以上いるときは、2分ごとに交代します。この交代は5秒以内にすませます。そのときは胸骨圧迫の回数を声を出して数え、他の救助者に回数を知らせるようにします。このように回数を知らせておくと、他の救助者が人工呼吸するとき、その準備をしやすくなります。



GAEDの使用

AED(Automated External Defibrillator)は自動体外式除細動器のことです。AEDは、心臓が心室細動という状態(不規則に小刻みにけいれんしている状態)で機能停止しているとき、心臓に強い電気ショック(除細動)を与え、正常な状態に戻すものです。


AEDの使用手順は以下になります。
1.AEDを、倒れている人の横、操作する人の横に置く
2.AEDのケースまたは蓋を開ける
3.電源を入れる
4.倒れている人の胸を裸にし、電極パッドをはる
 (一枚は右鎖骨のすぐ下側に、もう一枚は左乳頭の左側側面に貼る)
5.電極パッドのケーブルを本体に接続する
6.「心電図を解析します。患者から離れて下さい」との音声が流れる
7.周囲の人に、倒れている人から離れるよう指示する
8.「ショックが必要です。充電中です。患者から離れて下さい」との音声が流れたら、倒れている人に誰も触れていないことを確認する(『私よし、あなたよし、みんなよし』
9.「ショックボタンを押して下さい」との音声が流れたら、ショックボタンを押す
10.すぐに胸骨圧迫を開始し、CPRを再開する
 (胸骨圧迫の中断は10秒以内にする)
11.2分後にAEDが再び解析を開始する(6に戻る)


AEDの注意点は以下になります。
・電極パッドはシートから2枚同時にはがさない
 (電極パッドの粘着力は強力なので、パッド同士がくっつかないようにするため)
・電極パッドは、皮膚に密着させる
 (隙間があると火傷を起こすことがある)
・皮膚が濡れているときは、水分を拭き取る
 (皮膚が濡れていると、正しく電気ショックが心臓に伝わらない)
・ペースメーカーが埋め込まれている場合は、そこから約8cm離してパッドを貼る
・貼布薬(ニトログリセリンなど)が貼ってある場合は、はがして拭き取る
・電極と電極の間に、金属アクセサリーがないようにする
・胸毛があるためにAEDが解析できないときは、電極パッドを素早く胸毛ごとはがして、はがしたところに新しい電極パッドを貼る。それでも解析できないときは、胸毛を剃るかハサミで切り、新しいパッドを貼る
・「患者から離れて下さい」との音声が流れるまでは、ひたすらCPRを継続する


手順6以降は、基本的にAEDの音声に従います。救急隊に引き継ぐまでは、たとえ倒れている人が動き出しても、AEDの電源は切らず、電極パッドも貼ったままにしておきます。




以上がBLSの基本的な手順です。BLSを適切に行い、一人でも多くの命を救えるようになろうと思います。みなさんも、よかったら一緒にBLSで多くの命を救いましょう。(^o^)/


おわり(^^)


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posted by ふなこしのりひろ at 16:31| Comment(4) | TrackBack(0) | 救命処置のしくみ