2013年10月22日

障害を負ったときの心の動き【障害受容】

大きな怪我をしたり、大きな病気になったりしたとき、みなさんはどんな心境になるでしょうか??(>_<)


「ま、そのうち良くなるだろうし、大したことはないんじゃないかな」と楽観的な心境でしょうか?


「大変なことになってしまった。ずっと良くならず、大きな後遺症が残ってしまうかも。今まで出来ていたことが出来なくなってしまう。好きなことや、やりたいことが出来なくなってしまう。死んだ方がましだ」と絶望的な心境でしょうか?


実際には、楽観的、絶望的な心境を、行ったり来たりすることがほとんどだと思います。


そして、その怪我や病気によって障害を負ってしまった場合、最終的に、自分に起こった望ましくない現実を、自分なりに消化して生活していくようになります。



このような、障害を負ってしまったときの“心の動き”について、第2次世界大戦後の1950年代ごろから様々な研究者によって論じられてきました。


この“心の動き”は、障害を負った後の経過によって、いくつかの段階とたどると考えられています。研究者によって様々な段階モデルが示されていますが、一般的と思われるものを以下に紹介します。これは5つの段階に分けています。



1.心理的ショック相

初期の集中的な治療を受けている時期と重なり合い、健康なときと同じ身体像を持っている。この段階では、障害者という自覚はまったくない。


2.障害否認相

自分の障害を自覚するが受け入れられない。回復への期待が強く、少しの変化も回復への前兆としてとらえて大騒ぎしたり、効果がありそうな病院を転々と移り変わったり、迷信にすがったりする。健常者に対して嫉妬や眺望を感じ、介護してくれる者に対してはわがままになったり、当り散らしたりする。また、逆に障害者と自分を同一視することができず、交流を求められても応じようとせず、かえって差別的な言動をとったりする。


3.うつ反応相

自分に障害があることを受け入れるが、現実的な対応が出来ず、悲しい気持ちになる(うつ的になる)。自分の人間としての価値が失われたと感じやすく、実際の身体的、社会的制約に比べて、はるかに大きい制約があるように感じてしまう。無気力になり、希望を失うことも多く、自殺が最も多い時期。


4.自立への抵抗相

自分に障害があることを受け入れ、現実的な対応をし始めるが、そういった対応に対して自信がなく、感情が揺れ動いている時期。健常者に対しては劣等感を持つが、障害者に対しては親近感を持ち交流を始める。


5.障害受容相

障害を受け入れ、障害が自己の個性(例えば、背が高いとか低いとか、太っているとかやせているとか)の一つであり、それがあるからといって自分の人間的な価値は変わらないと考え始める時期。社会に対する対応はより積極的になり、障害者、健常者の区別なく交流し始める。



このように様々な研究者によって“心の動き”が段階付けされていますが、障害を負った人の“心の動き”は複雑で、必ずしもこのような段階をたどるとは限りません。特に、脳卒中などにより高次脳機能障害となり知的機能が損なわれてしまっている場合は、このような段階モデルは当てはまらないと思います。


また、障害を負ったら、最後の段階である「障害受容」を達成しなければいけないというわけでもないと思います。



ここで大切なことは、障害を負ってしまった人の心は、大きく動揺しているということです。


つまり、障害を負う前とは全く異なる心理状況なので、その人の人柄からは考えられないような奇妙な態度や言動が出現することがあるということです。内向的になって塞ぎ込んでいるかと思えば、突然攻撃的になって罵声を浴びせることもあるでしょう。


障害を負った人は以上のような普段とは異なる“心の動き”をしているということを知って頂けると、その人への誤解は生まれずに済み、より良い関係を築けるのではと思います。(^^)/


おわり(^^)/


〈主な参考文献〉
三上真弘,石田暉編:リハビリテーション医学テキスト 改訂第2版.南江堂,2005,pp88-90.
奈良勲編:理学療法概論 第4版.医歯薬出版,2002,pp338-340.
岩井阿礼:中途障害者の「障害受容」をめぐる諸問題−当事者の視点から−.
淑徳大学総合福祉学部研究紀要 43:97-110,2009.

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posted by ふなこしのりひろ at 14:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 心のしくみ